親の借金 債務整理

親の借金は債務整理できる?

親が多額の借金をしている場合、その借金を債務整理をすることは可能なのでしょうか?

 

まず、親が借金を抱えているのに債務整理する気がないので代わりに子供が債務整理を行う、ということは難しいでしょう。債務整理は債務者本人の意思に反して行うことができないので、親族であっても本人の代わりに債務整理を依頼することはできません。

 

借り入れ情報というのは個人情報扱いとなっているので、たとえ家族であっても教えてはいけないことになっています。そのため債務整理を行う際に必要な書類を用意するには、本人の力が必要です。弁護士に依頼する場合は弁護士が代わりにすべて行ってくれます

 

しかし、弁護士に依頼をするときには本人との面談が義務付けられています。偽装の可能性もあるので、誰かが代わりに弁護士に依頼することはできないようになっているのです。代わりに債務整理をしてあげたいという気持ちはわかりますが、債務整理をする気になるように本人を説得するしか方法はないでしょう。

 

また、親を説得するために債務整理の方法を聞きに来た、という場合も断られてしまう可能性があります。ただ、弁護士から説得してもらえる場合もあるので、一度相談に行ってみるのもいいでしょう。

 

ただ、本人の許可が出ている場合は相談に乗ってもらえることもあります。「両親が忙しいので代わりに相談に来た」というのであれば、依頼できる見込みも高くなります。親の借金について相談するのであれば、両親が住んでいるところの近くにある法律事務所に相談するようにしましょう。両親と離れて住んでいる場合は、電話で相談できる場合もあります。

 

弁護士に相談するときは、「どれくらい借金を抱えているのか」「どんなところから借金をしているのか」「今の収入はどうなっているのか」など、あらかじめ親の借金状況を把握しておきましょう。

 

なお、本人が高齢などによって意識がはっきりせず、自分の意志で債務整理を依頼することができない場合は、親族が代わりに依頼することになります。

 

親が高齢のため返済が難しい場合

定年退職などで両親の収入がなくなり、返済が難しくなってしまった場合に代わりに子供が返済を続けている、というケースもよくあります。しかし返済を続けることは経済的にも負担が大きいことです。返済に行き詰ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

 

そもそも、親の借金であっても連帯保証人になっていなければ、子供だからと言って返済をする義務はありません。たとえ債権者から返済を求められても、断ることができます。借金返済義務は契約者本人だけにあるので、親、配偶者、兄弟姉妹、子供など誰が作った借金でも保証人になっていなければ払う義務はなのです。なお、知らないうちに保証人にされていた場合は債権者に対して訴えることもできます。

 

しかし、そうは言ってもできれば親の借金をどうにかしてあげたい、というのが本音だと思います。そんな場合は、親を説得して債務整理をしてもらうことをおすすめします。

 

また場合によっては、親が認知症になってしまい返済能力を失ったケースもあります。借金は親と貸金業者の間の契約なので、本来そこに子供は介入できませんが、こうした場合はある制度を使うことで親の代理人となることができます。それは「成年後見制度」というものです。

 

これは認知症や知的障害などによって判断能力が十分でない人のために成年後見人が補うことができるという仕組みです。家庭裁判所に申請する必要がありますが、成年後見人に認められれば親に代わって借金の整理をすることができます。

 

また成年後見人は家族でなくても、弁護士や司法書士など法律専門家がなることもできます。弁護士に依頼すれば、借入先業者との交渉などはすべて弁護士が行ってくれます。また、債務者が高齢の場合は過払い金が発生している可能性が高いので、場合によっては借金の額が大幅に減ったり、ゼロになって、払い過ぎたお金が戻ってくることもあります。まずは一度相談してみるといいでしょう。

 

親が亡くなってしまった場合

親の借金はたとえ子供であっても連帯保証人になっていなければ返済義務はありませんが、借金を残したまま親が亡くなってしまった場合は話が変わってきます。

 

借金は相続される財産の対象となります。財産相続、というとプラスの財産のイメージが強いですが、法律では借金などマイナスの財産についても相続することになっています。もしプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合は、そのマイナスの財産は相続人が負担することになります。

 

ただし、財産を相続するかしないかは相続人の自由です。なのでもし借金を相続したくないのであれば、家庭裁判所で相続放棄の手続きを取れば借金を背負わずに済むのです。

 

相続放棄の手続きは相続開始日の翌日から3ヶ月以内に行わなければなりません。この期間を過ぎてしまうと財産を単純相続したとみなされ、マイナス財産も相続人が負担することになってしまいます。相続放棄をすると家や土地など他の財産を相続する権利も放棄することになるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

 

なお、生命保険、死亡退職金、遺族年金、香典、お墓・仏壇などは相続財産にはならないので相続放棄をするともらえないということはありません。また、限定承認というプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐという方法もあります。

 

相続した借金は債務整理できる

借金を相続した場合、亡くなった人自身は債務整理を行うことができません。そのため、その借金については相続人が債務整理を行うことになります。まずは亡くなった人がどこから借金をしていたのか、というところから調査を始めます。調査方法としては、亡くなった人の遺品から契約書や利用明細書、キャッシュカードなどを確認したり、信用情報機関から亡くなった人の信用情報を入手することになります。

 

どの貸金業者と取引していたかが分かったら、取引履歴を取り寄せて現在借金がいくらあるか、過払い金が発生していないかなどを確認します。過払い金が発生している場合は過払い金請求をします。そのためにはまず相続人全員で誰が過払い金請求をするのかを協議して決めるか、相続人1人で法律上決められた相続割合分だけを請求することができます。

 

借金が残ってしまったら、場合によっては債務整理を行うことになるかもしれません。ただしその場合は、相続人が任意整理や個人再生、自己破産を行うことになります。自己破産をする場合はもちろん自分の財産についても清算しなくてはならなくなるため、家や車を持っている場合は失ってしまうことになります。

 

こうなることを避けるためにも、借金が分かった時点で早めに相続放棄をするなり、生前に借金について分かった場合は債務整理しておくといいでしょう。多額の借金が発覚したら、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。